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椎間板ヘルニア
症例

椎間板ヘルニアとは?

脊椎の間にある椎間板が変性し、その上にある脊髄を圧迫する病気で脊髄疾患の一つに分類されています。病変部位によって、痛み、歩行・起立困難、排尿制御異常など、さまざまな神経学的異常が起こります。

椎間板の変性様式によってHansen-Ⅰ型とⅡ型に分類され、それぞれ以下のような疫学的特徴が分かっています。

Hansen-Ⅰ型
  • ビーグル、ダックスフンドなどの軟骨異栄養性犬種で多発する。
  • 若い年齢で比較的急性に発症する。
Hansen-Ⅱ型
  • どの犬種でもみられる。
  • 比較的高齢(5 歳以上)でみられる。

また、椎間板の変性が起こる場所としては頚部(くび)と胸腰部(胸と腰の境界)に分けられ、各々の発生頻度は、前者が 15%、後者が 85% と胸腰部での椎間板ヘルニアとなる犬の方が多いようです。

飼い主さんが気付く異変(臨床症状)

運動中、「キャンッ!」と鳴いた後、急に後ろ足が動かなくなった頚(または腰)を触ったとき「キャンッ!」と鳴いて痛がった  etc...

診断と治療法

上記臨床症状や犬種、神経学的検査および X 線検査(脊髄造影検査も)によって診断することが出来ます。
また,治療法に関しては“重症度による分類(グレード 1 ~5)”に基づいて内科的および外科的治療の必要性を検討します。

内科的治療

深部痛覚の消失を伴うグレード5と診断された場合、深部痛覚が失われた後の経過が重要となる。
深部痛覚が消失してから48時間以上経過している場合は適切な外科的治療を行っても回復する可能性は低い(5%)。

内科的治療法の中心となるのは、ケージレスト(ケージ内での安静)です。
外科的治療法として、具体的な手術法は減圧術または開窓術により行い、脊髄の圧迫を取り除くことを目的とします。(Hansen-Ⅰ型の場合、圧迫している椎間板物質を取り除きます)

参考までに、過去に報告されている「胸腰部椎間板ヘルニアのグレードによる治療の比較」を載せておきます。

 

グレード

内科的治療

外科的治療
(減圧術)

外科的治療
(開窓術)

100(8)

100(8)

95(19)

84(38)

100(33)

95(60)

100(10)

95(20)

85(47)

50(6)

90(37)

94(18)

7(4)

50(21)
48時間以内50(21)
6(15)
48時間以上経過

33(6)

再発率

34~40

27

0~16

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