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乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)
症例
乳腺腫瘍のステージ分類と予後

乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とは?

雌犬の腫瘍の中では最も一般的な腫瘍、雌猫では3 番目に多い腫瘍です。犬で乳腺に腫瘤性病変が確認された場合、その50% は良性で残りの50% は悪性、悪性の内の50% は転移を伴う非常に悪性度が高い性質を示すと報告されています(フィフティー・フィフティー・フィフティールール)。
また猫の乳腺腫瘤は約80% が悪性であると報告されており、来院時には肺への転移が多くの症例で確認されています。

◆犬の乳腺腫瘍の疫学的特徴としては以下のようなことが分かっています。

  • で最も多くみられる腫瘍
  • 50% は悪性で、さらに悪性の内の50% は初診時に転移を伴う
  • 平均年齢は10 ~ 11 歳
  • 過去に良性の乳腺腫瘍が発生した犬では、乳腺腫瘍を経験していない犬より悪性腫瘍が発生する
  • 早期の卵巣子宮摘出術が予防に繋がる ※病気やケガの「不妊・去勢手術」参照

◆猫の乳腺腫瘍の疫学的特徴としては以下のようなことが分かっています。。

  • 80%は悪性腫瘍(腺癌あるいは充実癌)
  • 平均年齢は10 ~ 12 歳
  • 不妊手術をした猫は、そうでない猫より乳癌の発生率は半分
飼い主さんが気付く異変(臨床症状)
  • 乳腺に硬いしこりがある
  • 乳腺が赤く腫れてきて、触ると痛がる
  • 乳腺から変な液体が出てくる      etc

乳腺の異常を主訴として来院されるケースが多いように思います。
単に発情が原因で乳腺が発達している場合なら発情が終わると自然と乳腺は退縮していきますが、卵胞嚢腫など卵巣の病気が背景にあり、乳腺が発達している場合などはそちらの治療が必要となる場合がありますので、乳腺の異常があった場合は来院されることをお勧めします。

診断と治療法

上記臨床症状に加えて、年齢、不妊手術の有無、針吸引生検 などによって診断します。 治療法としては、外科的に切除するのが第一選択となります。外科的に切除する方法としては、 乳腺全摘出術、片側乳腺摘出術および局所乳腺摘出術などいくつかありますが、状況に応じて どの術式を用いるか検討したのち実施することになります。摘出した乳腺腫瘍は、基本的には 外部の病理検査センターへ提出し、病理診断医による良性・悪性の診断および完全切除の有無 を確認してもらうことを提案させていただいています。

その他の治療法として、外科的に切除するのが困難な場合やすでに全身への転移が疑われる場 合などは抗がん剤を投与することもあります。

※腫瘤を針で刺して吸引し、細胞を採取してくる方法。  採取した細胞をスライドグラスに塗抹し、染色したものを顕微鏡で観察します。

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