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仙腸関節脱臼(せんちょうかんせつだっきゅう)
症例

仙腸関節脱臼(せんちょうかんせつだっきゅう)とは?

仙腸関節とは、仙骨と骨盤をつなぐ関節で、この仙腸関節に強い外力が加わることによって脱臼が起こります。
強い外力の原因として一番多いのは交通事故で、そのほかにも高所からの飛び降りや飼い主の不注意による踏みつけなどがあげられます。
また、強い外力のため、脱臼とともに骨盤骨折、筋肉の損傷も同時に起こっていることもしばしばみられます。

また、仙腸関節の疫学的特徴としては以下のようなことが分かっています。

  • 約3/4 では片方の仙腸関節脱臼が起こり、両方に起こるのは約1/4。
  • 仙腸関節の原因の多くが交通事故であり、骨盤周辺だけではなく、胸部や腹部も同時に損傷している場合もある。

  • 胸部の損傷の場合・・・気胸、横隔膜ヘルニア、肺出血などを起こし、呼吸困難を呈します。
  • 腹部の損傷の場合・・・腹壁ヘルニア、各臓器の破裂(特に膀胱や尿道破裂)など。
飼い主さんが気付く異変(臨床症状)
  • 元気・食欲がない。
  • 腰のあたりをさわると痛がる・怒る。
  • 後ろ足を引きずるように歩く、またはほとんど歩けない。
診断と治療法

上記臨床症状に加えて、身体検査、レントゲン検査、血液検査などにより診断します。
仙腸関節脱臼の場合、約75%の動物が外科的に治療し解剖学的に正しい位置に整復しなくてもある程度までは回復し、ほぼ普通に歩行可能な状態にまでに至るといわれています。
しかし、本来とは異なる状態で固定されてしまうため、骨盤周辺の骨の不安定性を残し、骨盤腔が歪んだり狭くなったり、股関節の可動範囲が狭くなったりしてしまいます。受傷後すぐはレントゲン上で問題が ないように見えても、将来的に骨盤狭窄による排便困難を起こす例が多くみられます。
 ゆえに仙腸関節脱臼の場合、外科的に治療し、骨盤の整復が必要であると考えられます。
(外科的に整復する場合はそうでない場合と比べて、歩行可能になるまでの期間がかなり短くなることが分かっています。)
  外科的治療法としては骨盤と仙骨をスクリュー ( 医療法のねじ ) やピン ( 針金みたいなもの ) に よって固定する仙腸関節固定術を実施します。(詳しくは実際の症例を参照ください)

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