病気やケガ>膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
ひざの伸び縮みをスムーズにする膝蓋骨(ヒトで言う“ひざの皿”)が外れてしまう病気です。 完全脱臼では痛みよる運動障害(後足を着地しない)がみられる場合もあれば、ほとんど症状がない軽い亜脱臼の場合もあり、症状によって治療方針も変わってきます(診断と治療の“重症度による分類”参照)。
小型犬に多発!(大型犬の約 10 倍)
トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、チワワ、マルチーズ etc・・・
小型犬では内方脱臼(膝蓋骨が内側に外れる)が多く、大型犬では外方脱臼が多い。
いずれも膝蓋骨が外れることで生じるものです。膝蓋骨が外れる時,膝関節内にある骨と擦れて関節炎が起こります。
関節炎による痛みのために運動能力の低下,歩行障害が起こります。
上記臨床症状や膝関節の触診、X線検査によって診断することが出来ます。
また、治療法に関しては“重症度による分類(グレード1~4)”に基づいて内科的および外科的
治療の必要性を検討します。
※グレード1or2でも「先天性脱臼を伴う骨格形成期にある子犬」や「体重の重い犬」の場合は外科的治療の適応となる場合があります。
手術の目的はひざの関節周囲の筋肉、靭帯、骨を生体力学的および解剖学的に正しい位置に整復することにあります。
その結果として膝蓋骨が本来の場所から逸脱しなくなります。
(金属板などを用いて膝蓋骨を無理矢理、本来の場所から外れないようにする手術ではありません)
実際の手術方法は個々の症例における、ひざの関節の状態に応じていくつかの術式を組合わせて実施します。