病気やケガ>膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
症例1

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは?

ひざの伸び縮みをスムーズにする膝蓋骨(ヒトで言う“ひざの皿”)が外れてしまう病気です。 完全脱臼では痛みよる運動障害(後足を着地しない)がみられる場合もあれば、ほとんど症状がない軽い亜脱臼の場合もあり、症状によって治療方針も変わってきます(診断と治療の“重症度による分類”参照)。

膝蓋骨脱臼の原因には・・・
  • 生まれつき(遺伝的に)膝関節周囲の筋肉、骨、靭帯の形成異常(先天性)
  • 交通事故などの外傷(後天性) などが考えられます。

膝蓋骨脱臼 の発生率が多い犬種

小型犬に多発!(大型犬の約 10 倍)
トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、チワワ、マルチーズ       etc・・・

小型犬では内方脱臼(膝蓋骨が内側に外れる)が多く、大型犬では外方脱臼が多い。

飼い主さんが気付く異変(臨床症状)
  • 歩いたり走ったりする時、突然後足の片方をあげる。
  • 後足をかばうような歩き方をする。
  • 突然、後足を時々後ろに伸ばす。
  • 立たせたとき、後ろから見ると、後足の足先が内側や外側に向く。
  • 足を曲げたときに、膝の関節でコリッという音(感触)がする<。/li>

いずれも膝蓋骨が外れることで生じるものです。膝蓋骨が外れる時,膝関節内にある骨と擦れて関節炎が起こります。
関節炎による痛みのために運動能力の低下,歩行障害が起こります。

診断と治療法

上記臨床症状や膝関節の触診、X線検査によって診断することが出来ます。
また、治療法に関しては“重症度による分類(グレード1~4)”に基づいて内科的および外科的 治療の必要性を検討します。


※グレード1or2でも「先天性脱臼を伴う骨格形成期にある子犬」や「体重の重い犬」の場合は外科的治療の適応となる場合があります。

手術の目的はひざの関節周囲の筋肉、靭帯、骨を生体力学的および解剖学的に正しい位置に整復することにあります。
その結果として膝蓋骨が本来の場所から逸脱しなくなります。
(金属板などを用いて膝蓋骨を無理矢理、本来の場所から外れないようにする手術ではありません)
実際の手術方法は個々の症例における、ひざの関節の状態に応じていくつかの術式を組合わせて実施します。

  • 滑車軟骨形成術
  • 脛骨稜転移術
  • 支帯強化術
  • 大腿四頭筋整復
  • 脛骨回旋制動術
  • 大腿骨の矯正骨切り術

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