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水頭症(すいとうしょう)
症例1

水頭症(すいとうしょう)とは?

水頭症は頭蓋骨の中の脳室系と呼ばれる空間に過剰な脳脊髄液が貯留し、脳室が拡張した状態をいいます。脳室が拡大してしまうと、周囲の脳が圧迫されてしまいます。そのため、脳圧があがり、さまざまな神経症状がみられることがあります。水頭症はいくつか分類法がありますが、ここでは発症機序による分類のうち、先天性水頭症について説明します。

先天性水頭症の疫学的特徴としては以下のようなことが分かっています。

  • 小型犬(トイ大権や短頭種)に多い
  • チワワ
  • トイ・プードル
  • ヨークシャー・テリア
  • パグ
  • ペキ二-ズ        etc ・・・

※ある特定の犬種によくみられることから、遺伝的要因が関与されていると考えられている。

4生後2~3ヵ月の若齢犬で症状を示し、診断されることが多い。

飼い主さんが気付く異変(臨床症状)
  • 落ち着きがない
  • しつけが困難
  • 変な声で鳴く
  • 過剰に興奮する
  • 元気がない

これらは、前脳が圧迫されることでみられる神経症状であることが多いようです。
その他にも、視力の低下、てんかん発作、旋回運動などがみられることもあります。
また、障害が後頭葉の大脳皮質に及ぶと、歩行の異常が認められるようになります。

診断と治療法

上記臨床症状に加えて、エコー検査、レントゲン検査などにより診断します。
治療法は内科的治療法と外科的治療法がありますが、臨床症状がみられ、かつ外科的治療の適応であれば、外科的治療をお勧めしています。
というのも、内科的治療は水頭症による脳圧充進を薬によって正常範囲まで下げ、神経症状を緩和させることを治療の目的としており、根本から治すものではないからです(一生投薬を継続する場合も)。
したがって、内科的治療は外科的治療の適応外の場合におこなっています。
外科的治療としては、いくつか方法がありますが、通常は脳室腹腔短絡術(=VPシャント術)を第一選択としています。

VPシャント術

側脳室にカテーテルの尖端をいれ、過乗Uな脳脊髄液を腹腔内へ流し、腹膜から吸収させる方法です。

多くは側脳室に脳脊髄液が過剰にたまってしまい、前脳が圧迫されることで神経症状が見られる。

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