橈尺骨成長板障害(とうしゃっこつせいちょうばんしょうがい)
症例1
症例2

 

◆ 症例1 ◆

1 歳4 ヶ月齢、バセット・ハウンド

左前足に痛みを伴い、足を挙げたままで歩行をしていました。2 ~ 3 ヶ月ほど前に同じ症状で他の動物病院で痛み止めを処方され、飲ませて改善がみられていたようです。しかし、病態の進行がみられ、左前足先が徐々に外側方向へ曲がってきてました。

 

左前足
肘関節の亜脱臼
赤破線で囲んだように肘関節がきれいにはまっていない

 

右前足
両足とも肘関節が亜脱臼しており、左前足においては手根関節の外反がみられました。

今回の症例はShort Ulna Syndrome と診断しました。
Short Ulna Syndrome では前述の説明にあるように、尺骨の成長不全により尺骨と橈骨のバランスがくずれ、尺骨は短く、橈骨は湾曲して伸長してしまいます。
したがって、尺骨の両端で一箇所ずつ骨を切り、縦方向へ骨を伸ばし、橈骨は一箇所で骨を切り、プレートを用いて骨の湾曲の補正を行いました。
また、尺骨の骨切りを実施した場所には、海綿骨を移植して骨の修復・癒合が早くおこるようにしてあります。
左写真は手術直後のレントゲン写真です。

※1:尺骨の切断した部位の間隔を維持するためにピンを入れてあります。骨が完全に癒合したら、抜きます。

※2:尺骨の骨切りを実施した場所約5mm ぐらい間隔をあけました。

※3:プレートを用いて、湾曲の補正を行いました。橈骨の中心あたりで、一箇所骨を切り、プレートで固定しました

 

左写真は手術前、右写真は手術後6 ヶ月経過したときのものです。
手術まえと比較すると、左足の湾曲が補正されているのがわかります。

 

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