病気やケガ>レッグ・ペルテス

レッグ・ペルテス
症例

レッグ・ペルテスとは?

大腿骨頭頚部(下図参照)に壊死が生じ、股関節の痛みのためにその足では負重できなくなるという整形外科疾患です。大腿骨頭への血流阻害の結果、壊死が起こると考えられていますが、その原因がホルモンの影響、遺伝的因子(常染色体劣性遺伝)、解剖学的形態などいろいろ説がありま すがいずれも確証には至っていません。

レッグ・ペルテスの疫学的特徴としては以下のようなことが分かっています。

  • 若齢犬に最も多い。
    1. 多くは1歳齢未満で4-12 か月に認められるのが一般的です。
  • 体重が12kg 以下の小型犬に多い。
    1. トイ・プードル
    2. ヨークシャー・テリア...etc
  • 雄と雌に発生率の差はみられない。
  • ほとんどが片方の足でみられる。
    1. 87-90%は片方の足のみ
飼い主さんが気付く異変(臨床症状)
  • 完全に後ろ足が着かない(足を挙げている)。
  • 股関節を触ったとき痛がる。
  • 股関節周辺を咬んでいる。
  • 後ろ足の筋肉が痩せてきた。
  • 食欲がない・元気がない。
  • ほとんどが片方の足でみられる。
  • 通常、レッグ・ペルテス病は6-8 週間かけて除々に悪化し、やがては負荷をかけることができず、足を完全に挙上 してしまいます。

診断と治療法

当院では以下の理由から、犬および猫で6ヶ月齢前後での実施が適切であると考えています。

上記臨床症状に加えて、股関節の触診(股関節可動域の減少、後方への伸展時疼痛、捻髪音)およびレントゲン写真で診断します。小型犬では膝蓋骨脱臼を併発していることがあり、この疾患との鑑別が必要になってきます。

治療法としては内科的治療法と外科的治療法があります。

内科的治療法としては、厳重な安静(ケージレスト)からなる保存療法と抗炎症薬を使用します。しかしながら、この病気になった症例の多くは疼痛の管理が困難となり、最終的には外科的治療が必要になってきます。また保存療法では25%以下の改善率であり、残りの75%の症例は持続的な跛行と二次的な骨関節炎が認められたことが報告されています。これらのことから、本院では特別な理由がないかぎり外科的治療を実施しています。

外科的治療法としては大腿骨および骨頚部切除術(FHO)を実施しています。FHO を実施した後ろ足への負重を開始する時期は小型犬では24-48 時間、大型犬では48-72 時間という報告もあり、術前の筋萎縮の程度によっても異なりますが、術後の経過は良好なものが多いです。
また、良子な経過を示していても、雨天時、激しい運動の後、しばらく運動をしなかった後などに軽度で間欠的な跛行が観察されることがあります。

inserted by FC2 system