橈尺骨成長板障害(とうしゃっこつせいちょうばんしょうがい)
症例1
症例2

 

◆ 症例2 ◆

 

左のレントゲン写真は両足を正面から撮ったものです。
正常な右肢と比較すると、左肢の橈骨が外側に湾曲しているのが明らかです。
幼いとき、左足の骨折を経験しているようで、そのときに成長板も障害されたものと考えられました。
下のレントゲン写真は左右の前足を横から撮ったものです。
左肢では橈尺骨の成長障害によって、かなり短くなっているのが分かります。


今回はイリザロフ法創外固定により曲がった骨を矯正しつつ、骨を伸ばしていくことにしました。
イリザロフ法では、湾曲した骨の矯正と同時に、短くなってしまった骨を伸ばすことができます。
今回の症例のように、正常な右足よりかなり骨の短縮がみられると同時に湾曲がある場合は、かなり有効な方法です。



イリザロフ法創外固定装着直後のレントゲン写真です。
手術時に赤線の部分で人工的に骨折させてあります。Aを支点に破線の固定器具の角度を矢印の方向に移動していきます。
そうすると、骨折部位が徐々に開いていくと同時に、開いた空間に骨が形成されます。一日に0.5mm ~ 1mm ぐらいずつその幅を広げていき生活に支障がない長さまで骨を矯正していきます。

 

イリザロフ法創外固定装着後、約2 ヶ月が経過したとき のレントゲン写真です。 正常な方の足に比べて、まだ短く、もう少し伸ばす必要 がありましたが、この段階で幅を広げるときに痛みを訴 えたため、この段階でストップしました。 赤線は前のレントゲン写真で骨折させた場所です。 この段階で約15mm の骨延長および、約30 度の角度 を矯正することができました。


イリザロフ法創外固定装着後、3 ヶ月半が経過したときの写真です。
腕の湾曲はほぼ矯正されました。骨の長さは正常な足と比較するとまだ足りませんでしたが、生活に支障がないレベルには達していたので、さらなる延長はしないで創外固定を外すことにしました。



手術後4 ヶ月後(創外固定を外して1 ヶ月)

手術前

上左の写真は創外固定を外して1 ヶ月が経過したときの写真です。ほぼ正常な状態にまで 矯正されたことがわかります。骨の長さは、やはり短いままですが、経過は良好で普段の 生活には全く支障がない状態にまで回復しました。

 

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